購入してから時間が経ったので、いくつか所感を上げたいと思う。
購入当初はPDFを読むことを主体に考えており、PDFを読むこと自体はAndroidタブレットやいくつかのガジェットでも行っているのでそれとの比較です。
書くことについては、現時点でのメジャーであるiPadを持っていないので、比較なしの所感です。
PDF を読む観点
過去にPDFを読むために、タブレットやガジェットで行ってきて困ったことをずいぶん解消できた感じており、主に下記のように感じた。
- 普通にPDFが開ける
- 拡大しなくても字がつぶれない
- 軽いので持っていてもあまり苦ではない
- PDFの転送に少し癖がある
- 同時に2つまでのPDFを読むのは向いているが、それ以上は厳しい
普通にPDFが開ける
これはAndroidタブレットを使っている限りではPDFが開けないということに遭遇したことがないので、ガジェット特有の観点の見方ではある。
具体的に過去でどんな事例があったかというと、下記の通り。
- ファイルをたくさん持っていると、ビューワーが一覧を作ろうとして多大な処理が負担となってしまった
- 電子書籍のような少し細かい体裁があり、ページ数が多いものはページめくりが遅いなどの現象があった
尚、自炊のような画像から起こしたPDFは試したことがないので、どうなるかは不明。
あと、現時点で使っている限りで開けないPDFはなかったが、 公式 には以下の通りに書いてあるので、留意は必要。
PDF1.7の仕様に準拠。Adobe extension level 1-8の拡張機能が含まれるPDFは対象外です。
拡大しなくても字がつぶれない
これはある程度の画面の大きさと解像度があれば、どんなデバイスでも気にならないことではある。
過去に同じ電子ペーパーを用いた PRS-650 や Kindle Paperwhite 第3世代 が6インチと小さいこともあったので、ガジェット特有の観点の見方ではある。
Quaderno A5のような10インチくらいの大きさで解像度があれば、前述のような雑誌を1ページ全体を表示して読めない文字はなかった。
ただし2upのような見開き表示にした場合ではつぶれる可能性があるのでその点は留意が必要かもしれない。
Quaderno A4であれば画面が更に大きいので見開き表示でも問題がないかもしれない。
若干レスポンス面での癖はあるものの拡大は違和感なくできるので字が小さくても対処できるとは思う。
なお、PRS-650 や Kindle Paperwhite 第3世代でも拡大すれば良いではないかと思うが、この当時のデバイスのハードやソフト的な制約のためか拡大縮小の処理時間が掛かったり、できることに限界があったので自分にとってよい解消方法を見つけられなかった。
軽いので持っていてもあまり苦ではない
これは10インチクラスのAndroidタブレットと比較した観点で軽いので、持ちながら読んでいても苦になることはない。
しかしながら、軽すぎてつかむ場所がないとも感じているのでこの点は難しいと感じているところでもある。
今現在はストラップを付けて、ストラップに指を通して落とさないようにして結構いい加減な持ち方で回避している。*1
この回避でも少しうまくいっていないところもあり、右手にペンを持ち、左手にQuadernoを持とうとした場合、Quaderno のストラップ穴が右下にあるので、持ちながら書こうとした場合は向かないかもしれない。
あと軽いことに関連して、Androidタブレットと比較すると本体の剛性に不安を覚えており、持ち運ぶ際には折れ曲がらないように固いもので挟んだ方が良いのかもしれない。
今のところ、純正のケースは使っていないが似たようなケースを使っている。
PDFの転送に少し癖がある
Quaderno は利用時はほぼ単体で完結しているため、外からPDFを転送しなくてはならない。
この観点では、他のデバイスでは以下のような転送ができた。
以上のように、2021年1月時点では汎用的な方法で実現できたのに対して、Quadernoでは専用ソフト一択という癖がある。
特にスマホに関しては Pixel3 以降のPixelシリーズが接続できないという注意書きが存在する。*2
この注意書きは私が購入した2020年の夏の時点で既に存在しており、いまだに存在し続けている。
原因や今後の見通しは書いてないため、Pixelシリーズ以外で同じ現象にならないのかわからないのが更に不安になる。*3
Pixel3a を所持している自分が試した限りの転送の現象は下記の通り。
- Quaderno とPixel3a を自宅の無線LANに繋げた場合は転送可能
- Quaderno が無線LANの基地局(アクセスポイント)となる方式でPixel3a を繋げた場合は転送不可能
- Quaderno とPixel3a をモバイル無線LANルータの基地局に繋げた場合は転送不可能
- Pixel3a を Wi-Fi テザリングで基地局にしてQuaderno を繋げた場合は転送不可能
以上のように公式にないような方法でも試しているが、いまいち挙動が不明で原因や現象がよくわからない。
上記の2番目の方法ができれば、外出先でも不安を覚えることなく転送ができるところなのにできないのがちょっと悔しい。
現時点では外出時にも別のAndroid端末を持つことが多いのでなんとか回避している。
なお、転送不可能の現象は専用ソフト上でPixel3a から Quaderno を探す処理が行われるときに見つからない症状が起きている。
あと、NFCを使った転送は、Quaderno が無線LANの基地局になる手続きが簡易になったものと理解している。
同時に2つまでのPDFを読むのは向いているが、それ以上は厳しい
Androidタブレットを使っている限りではアプリによっては、同時に2つ以上のPDFの閲覧が簡単にできるものがあるし、複数のアプリを使って切り替えて読むこともできる。
一方、PRS-650 も Kindle Paperwhite 第3世代 も簡単に切り替えはできなかったので、一冊のPDFの閲覧が基本だった。
これに対して、Quaderno では画面を二つに割って、同時に2つのPDFを表示する機能がある。
この機能を用いることで下記のようなことができる。
- 1つのPDFを見開き(2up)で表示
- 2つのPDFを画面を分けて表示
- 2つのPDFを画面を分けて表示する機能を用いて同じPDFを開き、1つのPDFの連続していないページを2つ表示
いずれの機能も画面を二つに割って表示するため、小さいところは見づらくなる。
Quaderno A4を使えば、若干ながらも緩和できるかもしれない。
なお、2つのPDFを表示する方法はPDFがQuaderno上の同じフォルダの中に入っている方法ではできているが、
異なる場合の実現方法の可否が不明で制限事項かもしれない。
あと、仕様は不明ではあるものの画面の長い方とPDFの用紙サイズの長い方を自動的に合わせるような振る舞いがあり、
2つのPDFの用紙サイズの向きや縦書きや横書きなどの向きによっては使いづらいケースがあるかもしれない。
PDF に書く・ノートを取る観点
購入の際には主体として考えていなかったため、あまり使っていないが下記のように感じた。
- PDFに直接書き込む機能はコメントや吹き出し機能は使えずオールマイティにはなりえない
- ノートをとる機能は普通に使える
PDFに直接書き込む機能はコメントや吹き出し機能などは使えずオールマイティにはなりえない
ペンがあるのでもちろん書き込む機能は利用できるところは便利と考えている。
しかしながら、PCのAcrobat Reader上にあるような、コメント・吹き出し・打消しの機能はない。
このためフリーハンドでPDFの文字や図を書き込む観点は使えるものの、ある種のPDFの校閲では使いづらい可能性がある。
特にコメント・吹き出し・打消しはPCのAcrobat Reader上ではスクロールや一つずつ移動しながら確認できるので、
書き込んだPDFを別途PCに転送して、書き込んだ内容をPCのAcrobat Reader上で確認するケースには向かないかもしれない。
あと、PDFに書き込む機能で青と赤の2色の切り替えできてモノクロで濃淡の違いはある。
しかしながら細いペンでは色の違いが分かりにくいときもあるので、留意が必要。
ノートをとる機能は普通に使える
普通にノートをとる機能は普通に使えた。
デフォルトの機能として、PDFを読みながらPDFと別のノートを取るための機能がある。*4
この機能は上述の画面を2つに割ってPDFを読むケースと同じように左の画面にPDF表示、右の画面にノートのPDF表示にできる。*5
ノートに利用できるテンプレートは、デフォルトで幾つか存在しているだけでなく、 公式 でも配布しており、別途追加可能。
追加されたテンプレートは、今のところPCの専用ソフトのみでしか追加できないようなので留意が必要。
ノートを作った時にQuadernoが自動的にファイル名を付けるようになっているがQuadernoでノートを開いた状態でメニューからリネームもできるので、
完全ではないもののノート作成機能もQuadernoのみで完結することが可能と感じる。
蛇足ではあるが、PRS-650もペンがあって無地の上にノートを取ることはできた。
しかしながら、画面が小さく書きにくかったこととペンの反応が微妙だったのでほとんど使っておらず比較できるレベルではないと考えている。
その他の所感
PCの専用ソフトは必須
自分の使い方ではPCの専用ソフトをほとんど使わず、スマホの専用ソフトのみであるものの、少なくとも下記のケースでPCの専用ソフトが必須であった。
- Quadernoの本体ソフトウェアの更新
- Quaderno内のPDF管理ストレージ上でのフォルダ作成・削除
- ノートのテンプレート転送
電池の持ちは気にならないが、使おうとしたときになくなっていることあり
電子ペーパーの利点でもあり、電池の持ちは非常に良い。
1週間以上に充電していないことも多く、使おうとしたときに電池がなくなっていることもよくあるくらい充電することを忘れられた。
Androidタブレットと比較すると、この利点に反して電子ペーパーがモノクロであるマイナス面も存在している。
このマイナス面は人それぞれではあるが、自分は納得していることと色使いの多いPDFを読むことが少ないと感じているので問題に感じていない。
ペン先は消耗品と割り切りが必要
購入当初は、富士通の純正であるフェルトのペン先を用いていたが、途中からソニーのデジタルペーパーのPOMのペン先に変えて利用している。
画面にフィルムとかは貼っていない素のままの書きごごちとしては、フェルトは鉛筆、POMはボールペンのように感じた。
個人的にはボールペンのようなPOMの方を好んで使っている。
今のところ、まだ一つ目のPOMを使い続けているものの明らかに使い始めより書きにくく、ペン先は消耗品と割り切って交換が必要なのかもしれません。
あとなぜかQuaderno のペン先はフェルト一択になっている。
ペンをペン先から落とした場合の感圧センサーの故障を危惧して固いPOMではなくフェルト一択にしているとも感じており、ペン先の判断にはこういう部分の判断も必要かもしれません。
独特の操作がある
ガジェットなので、操作方法に独特なところがある。
全ての操作方法を知っているわけでもないので間違っているところもあるかもしれないが、気になったところは下記の通り。
- ノートの新規ページの追加方法が異なる
- 最後のページに追加する場合、スワイプ
- 途中のページに追加する場合、メニューから選択
- 操作では読むときはペンなし、書くときはペン、時々微妙に異なるところあり
- 読むときは、ほぼスワイプとピンチイン、ピンチアウトで操作
- 書くときは、ペンで書き込み、削除でき、ペーストのみはペーストアイコンタップ後にペンで位置指定して、決定アイコンタップと3段階の操作
- 設定画面などでは、ファイル名記入でソフトキーボードあり、一覧表示でのページめくりはスワイプできない
- NFC転送は転送の開始・終了時にWi-FiのON/OFF不要
- ページ移動はスライダー操作でページ番号を指定できない
- ページ数が少ないPDFではスライダーでもある程度操作可能
- ページ一覧を表示後にページ指定も可能ではあるものの、ページ一覧表示に少し時間がかかるときがある
- 目次があるPDFならメニューから目次指定可能であるものの、目次が深い構造の時に目次展開アイコンタップが必要
屋外で気軽に使える
購入した時にフロントライトがないことを完全に失念していた。
普通の本と同様に明るいところで使えばよいので、何の問題も生じていない。
逆にAndroidタブレットと異なり、屋外で明るさを上げて消費電力を増やす必然性がない利点もある。
機能が限定的の良し悪しはある
一般的なAndroidタブレットと比較すれば、機能が限定的であることには間違いない。
恐らく機能が限定がされているがゆえに、軽くて薄いメリットにも繋がっている。
よって、人それぞれで良し悪しは出てくると感じている。
自分にとっては機能限定されていても、常に機能限定されていないスマホが近くにあるのであまり困っていない。
よって、割り切って使う分にはありで、それがだめならカラー液晶のAndroidタブレットやBOOXのような電子ペーパーの Androidタブレットだと思う。